確定申告の計算とは?
確定申告の計算は、単純には所得税の計算になります。
しかし、実は確定申告は所得税が決まるだけではなく、住民税や国民健康保険税も決まるのです。
それは確定申告をするのことによって、各税務署から各市町村に確定申告書の控えが送られ、各市町村で住民税、国民健康保険税が計算され、決まるのです。
確定申告の計算方法は?
所得税、住民税、国民健康保険税が決まる
確定申告の計算方法は? 確定申告すれば、所得税、住民税、国民健康保険税が決まる
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確定申告で計算されるのは所得です。
その所得を元に所得税が計算されます。
一般的に確定申告というとこういう認識になると思います。
しかし所得が確定すると、確定申告の控えを使って、その情報は各市町村に共有され、その所得を元に住民税も決まります。
また国民健康保険税も住民税同様、確定申告の控えを使って、その情報は各市町村に共有され、その所得を元に決まります。
所得税の計算方法は? 所得税=課税所得(所得(収入-経費)-控除)×所得税率
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所得税=課税所得×所得税率
課税所得=所得–控除
所得=収入–経費
所得税は課税所得に所得税率をかけて算出します。
課税所得とは、所得から控除を引いたものです。
所得とは収入から経費を引いたものです。
所得税率とは
所得税率は、以下の表のとおり課税所得金額により決まっています。
課税される所得金額 | 税率 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% |
40,000,000円 以上 | 45% |
※出典国税庁HP
この表を見ると、例えば所得が500万円の場合、税率は20%で、
5,000,000円×20%=1,000,000円
と見えます。
実はそうではなく、
1,950,000円×5%=97,500円
3,300,000円-1,950,000円×10%=135,000円
5,000,000円-3,300,000円×20%=340,000円
97,500円+135,000円+340,000円=572,500円
なのです。
なぜこのような計算になるかというと、それは累進課税だからです。
それをわかりやすくしたのが、下の表です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
※出典国税庁HP
5,000,000円×20%-427,500円=572,500円
「控除額」というと、扶養控除や配偶者控除を考えてしまいますが、そうではなく、その所得であれば、税率をかけたあとにいくら控除すれば所得税額が計算されるか?という控除額です。
所得控除とは
所得税の控除には以下のものがあります。
所得控除と言います。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- 寡婦・寡夫控除
- 勤労学生控除
- 障害者控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
- 青色申告特別控除
税額控除とは
控除には所得控除以外にも、税額控除があります。
税額控除には次のものがあります。
- マイホームの取得等と所得税の税額控除
- 居住者に係る外国税額控除
- 非居住者に係る外国税額控除
- 配当所得があるとき(配当控除)
- 政党等寄附金特別控除制度
- 認定NPO法人に寄附をしたとき
- 公益社団法人等に寄附をしたとき
- 試験研究費の総額に係る税額控除制度
- 特別試験研究に係る税額控除制度
- 雇用者の数が増加した場合の税額控除
- 雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除
住民税の計算方法は? 道府県民税と市町村民税、所得割と均等割
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住民税には道府県民税と市町村民税がある
住民税には道府県民税と市町村民税があります。
道府県民税となっていますが、東京都も「東京都の道府県民税」であり、同じです。
道府県民税は都道府県に納付され、都道府県のために使われます。
市町村民税は市町村に納付され、市町村のために使われます。
道府県民税の実際の徴収は、市町村に任されており、市町村から各都道府県に納付されます。
住民税には所得割と均等割がある
道府県民税も市町村民税もそれぞれ所得割と均等割があります。
所得割とは
所得割とは所得に対して税率(標準税率)が決まっています。
つまり所得の多寡(多い少ない)により住民税の金額が違います。
現在、
- 市町村民税は6%
- 道府県民税は4%
です。
均等割とは
均等割とは決まった金額です。
つまり住民税を払う人は必ず払う金額です。
現在、
- 市町村民税は3,500円
- 道府県民税は1,500円
です。
この金額は全国一律です。
令和5年(2023年)までこの金額と決まっています。

国民健康保険税の計算方法は? 平等割、均等割、所得割、それぞれ市町村によって違う
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国民健康保険税は市町村によって違います。
国民健康保険税には平等割、均等割、所得割があります。
この国民健康保険税の平等割、均等割、所得割、それぞれが、市町村によって違うのです。
ここで解説したいところですが、市町村によって違うので解説しようがありません。
埼玉県さいたま市と佐賀県鹿島市を例示します。
さいたま市の例 計算例(令和3年度) 課税標準所得額 医療分 支援分 介護分 年税額 |
佐賀県鹿島市の例 令和3年度課税計算方法(例) A.世帯主 48歳 自営業 所得額 1,800,000円 B.妻 45歳 専従給与収入額 1,000,000円(所得額 350,000円) C.祖 父 69歳 公的年金収入額 2,000,000円(所得額 800,000円) D.長 女 12歳 所得なし 医療分 後期高齢支援金分 介護納付金分 I. 医療分の計算 所得割額 均等割額 所得割額 均等割額 所得割額 |
各市町村別の国民健康保険税は、「各市町村名」プラス「国民健康保険税 試算」でGoogle検索をすると、「試算シート」や「試算フォーム」のページを検索することができます。
まとめ
確定申告の計算方法は?ということでしたが、確定申告をすると、所得税、住民税、国民健康保険税が決まります。
所得税の計算方法は、所得税=課税所得(所得(収入-経費)-控除)×所得税率です。
住民税の計算方法は、住民税には道府県民税と市町村民税があり、またそれぞれ所得割と均等割があります。
国民健康保険税の計算方法は? 平等割、均等割、所得割がありますが、それぞれ市町村によって違います。