ほんの数年前は国税庁のe-Taxや確定申告書等作成コーナーとクラウド会計ソフトを比較すると、その使いやすさ、先進性に大きな差があり、圧倒的にクラウド会計ソフトの方が使い勝手がよかったです。
あまりマイナンバーカードの普及が進まなかったせいか、現在はクラウド会計ソフトつまりクラウド会計ソフトの銀行口座やクレジットカード明細を自動で取り込む機能や、日々の収支管理ができる点を除いた部分においては、2次元バーコード(QRコード)認証など、国税庁のe-Taxや確定申告書等作成コーナーが同等のものになりつつあるように感じます。
ただe-Taxや確定申告書等作成コーナーは、古いシステムをグレードアップするのではなく、別のシステムを追加しながら、古いシステムをマイナーチェンジするというような動きを見せたことから、結果的に複数のシステムが同時に運用され、かつそれぞれのシステムのできること、できないことが複雑に絡み合うようになってしまったという印象です。
今回はe-Taxソフト(SP版)とe-Taxソフト(WEB版)の違いについてみてみます。
e-Taxソフト SP版とWEB版の違いは? 青色申告の目線で違いを比較してみた
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- e-Taxソフト(SP版)はスマホでのみe-Taxができる
- e-Taxソフト(WEB版)はパソコンでもスマホでもe-Taxができる
- クラウド会計ソフトデータの取り込みはe-Taxソフト(WEB版)でしかできない
確定申告書 | 青色申告 決算書 | パソコン e-Tax送信 | スマホ e-Tax送信 | 明細計算 | クラウド会計ソフト データ 取り込み | |
e-Taxソフト(SP版) | × | × | × | △ | × | × |
e-Taxソフト(WEB版) | × | × | 〇 | △ | × | 〇 |
※クラウド会計ソフトでスマホでe-Taxできるのはマネーフォワード クラウド会計とfreee会計と。やよいの青色申告オンラインは添付書類など一部制限アリ(2022年8月10日現在)。
e-Taxソフト(SP版)でできること
- スマホでe-Taxができる
e-Taxソフト(WEB版)でできること
- パソコンでもスマホでもe-Taxができる
- クラウド会計ソフトデータの取り込み
e-Taxソフト SP版とWEB版の違い
- e-Taxソフト(WEB版)はパソコンでもスマホでもe-Taxができる
- e-Taxソフト(SP版)はスマホでのみe-Taxができる
- クラウド会計ソフトデータの取り込みはe-Taxソフト(WEB版)でしかできない
まず確定申告書を例えば手書きで作成して、税務署に提出するというような非効率な手段を無視して、効率的な方法として考えられるのは、国税庁の確定申告書等作成コーナーにおける確定申告書等作成コーナー、e-Taxソフト(WEB版)、e-Taxソフト(SP版)、e-Taxソフトダウンロード版、クラウド会計ソフトとなるでしょう。
そのうち、確定申告書を作成することからe-Taxまで一連の流れで確定申告を完結させることができるのは、パソコンで確定申告書等作成コーナーを使うことです。
もうひとつの方法はクラウド会計ソフトです。
スマホだけで確定申告書を作成してe-Taxで確定申告ができるのはクラウド会計ソフトです。
その上で、e-Taxソフト(WEB版)とe-Taxソフト(SP版)の違いはなにか?というと、
- e-Taxソフト(WEB版)はパソコンでもスマホでもe-Taxができる
- e-Taxソフト(SP版)はスマホでのみe-Taxができる
- クラウド会計ソフトデータの取り込みはe-Taxソフト(WEB版)でしかできない
ということになります。
つまりe-Taxソフト(WEB版)はパソコンでもスマホでもe-Taxができますが、e-Taxソフト(SP版)はスマホでしかe-Taxができないということです(スマホでe-Taxソフト(SP版)を使って、パソコンでe-Taxするということを想像すれば理解できる(できないし、やる意味がないですよね)と思います)。
また、e-Taxソフト(WEB版)は、クラウド会計ソフトデータの取り込みができますが、このクラウド会計ソフトデータの取り込みというのは、例えばクラウド会計ソフトで確定申告書類を作成して、e-Taxソフト(WEB版)で、作成した確定申告書類をe-Taxできるという意味です。
このブログで紹介しているクラウド会計ソフトで考えると、freee会計とマネーフォワード クラウド会計はそれぞれソフトからe-Taxができ、やよいの青色申告オンライン
は一部郵送対応は必要なもののe-Taxができます(2022年8月10日現在)。
そのe-Tax機能を使わずに、もしくはfreee会計、マネーフォワード クラウド会計、やよいの青色申告オンライン以外のクラウド会計ソフトで確定申告書を作成して、e-Taxソフト(WEB版)からe-Taxをするということです。
e-TaxソフトSP版とWEB版以外のシステムも含めたe-Tax&確定申告書等作成コーナーは? ちょっと整理してみた
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- スマホでe-Taxで青色申告:クラウド会計ソフト(※)
- パソコンでe-Taxで青色申告:確定申告書等作成コーナー、e-Taxソフト(WEB版)、e-Taxソフト、クラウド会計ソフト
- スマホでe-Taxで白色申告:確定申告書等作成コーナー、クラウド会計ソフト
- パソコンでe-Taxで白色申告:確定申告書等作成コーナー、e-Taxソフト(WEB版)、e-Taxソフト、クラウド会計ソフト
確定申告書 | 青色申告 決算書 | パソコン e-Tax送信 | スマホ e-Tax送信 | 明細計算 | クラウド会計ソフト データ 取り込み | |
確定申告書等作成コーナー | 〇 | 〇 スマホでは× | 〇 | 青色×白色〇 | × | × |
e-Taxソフト(WEB版) | × | × | 〇 | × | × | 〇 |
e-Taxソフト(SP版) | × | × | × | △ | × | × |
e-Taxソフト | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
クラウド 確定申告 ソフト | 〇 | 〇 | 〇 | 〇※ | 〇 | – |
※クラウド会計ソフトでスマホでe-Taxできるのはマネーフォワード クラウド会計とfreee会計と。やよいの青色申告オンラインは添付書類など一部制限アリ(2022年8月10日現在)。
>e-Taxソフト WEB版とSP版以外のシステムも含めたe-Tax&確定申告書等作成コーナーについてくわしくはこちら

確定申告書等作成コーナー
- スマホでe-Tax、青色申告はできない。白色申告もできない。
- パソコンでe-Tax、青色申告も白色申告もできる

e-Taxソフト(SP版)
- スマホでe-Tax、青色申告はできない。白色申告もできない。
- パソコンでe-Tax、青青色申告はできない。白色申告もできない
- 確定申告以外のe-Tax送信は2次元バーコード(QRコード)でできる。

e-Taxソフト(WEB版)
- パソコンでe-Tax、青色申告、白色申告は、クラウド会計ソフトからデータを取り込めばできる
- パソコンからe-Taxは2次元バーコード(QRコード)を使ってできる
- スマホでe-Tax、青色申告はできない。白色申告もできない。

e-Taxソフト(ダウンロード型)
- スマホでe-Tax、青色申告はできない。白色申告もできない。
- パソコンでe-Tax、青色申告、白色申告ができる。

クラウド会計ソフト
- スマホでe-Tax、青色申告ができる。白色申告もできる。(※)
- パソコンでe-Tax、青色申告ができる。白色申告もできる。
※クラウド会計ソフトでスマホでe-Taxできるのはマネーフォワード クラウド会計とfreee会計と。やよいの青色申告オンラインは添付書類など一部制限アリ(2022年8月10日現在)。

番外編:e-Taxソフト(WEB版)はサラリーマンの確定申告書は作れる
今回の記事を作成するにあたっては、2度にわたりe-Taxのヘルプデスクに問い合わせてみました。
Google検索で
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と表示されます)
その際に教えてもらったことに、e-Taxソフト(WEB版)は確定申告書類や青色申告決算書は作れませんが、サラリーマンの医療費控除などの確定申告書は作れるということがありました。
冒頭にも書いたとおり、その他にも個人、法人の違いや、税目の違いで使える機能が違うようです。
今回は、あくまで個人事業主、フリーランスなどの人が青色申告をするという前提でまとめていますが、「スマホでe-Taxできた!」とサラリーマンの医療費控除などしかできないのに、さも個人事業主、フリーランスなどの人がスマホでe-Taxできるかのような表現が脳裏に焼き付いていたので、聞いてみた次第です。
e-Taxを使えば最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
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最大65万円の青色申告特別控除の条件は、e-Taxによる申告または電子帳簿保存
- e-Taxを使えば65万円の青色申告特別控除が受けられる
確定申告について、最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、e-Taxによる申告または電子帳簿保存が必要です。
単純に言えば、e-Taxを使えば65万円の青色申告特別控除が受けられるということになります。

e-Taxを使えば最大65万円の青色申告特別控除
結局10万円の増額 個人事業主、フリーランスなどの青色申告特別控除額と基礎控除額
2020年から、青色申告特別控除は個人事業主、フリーランスなどは最大65万円になりました。
それは青色申告特別控除額と基礎控除額の合わせ技によります。

e-Tax&国税庁の確定申告書等作成コーナーはダメ
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e-Tax&国税庁の確定申告書等作成コーナーがダメな点
- e-Tax&国税庁の確定申告書等作成コーナーの設定が複雑怪奇
- 複式簿記をしてくれるわけではない
- 日常的に売上、経費などを入力できない
- 日常的に売上、経費などを管理できない
e-Taxの設定が複雑怪奇
e-Taxは設定はとても複雑です。

複式簿記をしてくれるわけではない
e-Tax&国税庁の確定申告書等作成コーナーは複式簿記をしてくれるわけではありません。
つまり最大65万円の青色申告特別控除を受けようと思ったら、自分で複式簿記をしなければなりません。


日常的に売上、経費などを入力できない
今回、確定申告書等作成コーナーをわかりやすく解説してみた中でも紹介しましたが、国税庁の確定申告書等作成コーナーは、確定申告をする年にならないと会計年度が更新されません。
例えば2023年(令和5年)に2022年(令和4年)の分について確定申告をしようとすると、2023年(令和5年)にならないと、2022年(令和4年)分を国税庁の確定申告書等作成コーナーに入力することができないのです。
日常的に売上、経費などを管理できない
日常的に売上、経費などを入力できないということは、クラウド会計ソフトのように日常的に売上、経費などを管理することもできません。
つまり2022年(令和4年)中に、2022年(令和4年)に発生した売上、経費を発生都度、入力したり、管理したりしようとしてもできません。
まとめ
e-Taxソフト SP版とWEB版の違いは?ということでしたが、青色申告の目線で違いを比較してみました。
e-Taxソフト SP版とWEB版以外のシステムも含めたe-Tax&確定申告書等作成コーナーはどうか?についても整理してみました。
e-Taxを使えば最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。
e-Tax&国税庁の確定申告書等作成コーナーはダメです。