e-Taxにしても確定申告書等作成コーナーにしても、便利になるのはいいのですが、便利になればなるほど複雑になっていきます。
e-Taxや確定申告書等作成コーナーは、パソコン版確定申告書等作成コーナー、スマホ版確定申告書等作成コーナー、e-Tax(WEB版)、e-Tax(SP版)、ダウンロード版e-Taxソフト、それぞれ登場した時には目的があって、便利な機能がありました。
しかし、不足している機能を追加すべく、また新しいシステムが出る。その前に出したシステムを削除するわけにいかない。そして複雑化。
この電子帳簿保存法、電子帳簿保存も私自信、字面を見て、「難しい!避けたい…」と感じました。
ただ知ってみると、そもそも1998年という早い時期からペーパーレスを目的としていて、導入は複雑で難しいものの、使い始めれば便利なシステムです。
そんな電子帳簿保存に、また改正電子帳簿保存法に、個人事業主、フリーランスなどの人が対応すべきか?というと、それは不要です。
電子帳簿保存法は先送り?導入しなきゃいけないの?
個人事業主、フリーランスなどは基本的には不要
- 電子帳簿保存法は先送り?導入しなきゃいけないの? 個人事業主、フリーランスなどは基本的には不要
- 改正電子帳簿保存法は義務?強制? そもそも、もともと紙で管理しているなら対応する必要はない
- 改正電子帳簿保存法が2年間先送り? 2022年(令和4年)1月施行の改正電子帳簿保存法は2年間猶予期間を設ける
- 2年後以降も紙保存をしていても青色申告の承認が取り消されるわけではない? 電子帳簿保存をしている事業者が改正に対応するかしないかの話
- 青色申告の要件は電子帳簿保存or e-Tax? 個人事業主、フリーランスなどの人はe-Taxでいいんじゃない?
- もしそれでも電子帳簿保存を導入するなら freee会計が改正電子帳簿保存法に対応!
- 青色申告と電子帳簿保存の関係は? 電子帳簿保存も青色申告の要件のひとつ
- まとめ
電子帳簿保存法は先送り?導入しなきゃいけないの? 個人事業主、フリーランスなどは基本的には不要
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個人事業主、フリーランスなどが今すぐ電子帳簿保存をすべきか?結論から言うと、
- 個人事業主、フリーランスなどに電子帳簿は不要
です。
理由としては、
- そもそも、もともと紙で管理しているなら対応する必要はない
- 2022年(令和4年)1月施行の改正電子帳簿保存法は2年間猶予期間を設ける、つまり先送り
- 2年後以降も紙保存をしていても青色申告の承認が取り消されるわけではない
- 青色申告の要件は電子帳簿保存or e-Tax
改正電子帳簿保存法は義務?強制? そもそも、もともと紙で管理しているなら対応する必要はない
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いきなり結論であり、核心部分ですが、
もともと紙で管理しているなら対応する必要はない
です。
紙の領収書などを電子化させなければならないというものではない
例えば、私がそうですが、個人事業主、フリーランスなどであって、売上は請求書なしで銀行に振り込まれる。
経費はほとんどECサイトからの購入分で必要があれば印字する、まず発生しない紙の領収書はたいした量でもなく保管場所に困るということではない。
ということであれば、改正電子帳簿法によって、電子帳簿保存を始めなければならなくて、わずかな紙の領収書を電子化して保存しなければならないということではありません。
改正電子帳簿法は今まで電子帳簿保存法にもとづいて電子帳簿保存を行っていた企業に対する要件の緩和や厳格化
もちろん今回の改正で電子帳簿保存をはじめるという個人事業主、フリーランス、会社、企業などもある可能性がありますが、今回の改正は、基本的に今までも運用されていた電子帳簿保存法に基づく電子帳簿保存を行っていた個人事業主、フリーランス、会社、企業などに対する要件の緩和や厳格化です。
要は、要件の緩和をして、個人事業主、フリーランス、会社、企業などに電子帳簿保存を推進させ、その分、その推進により発生する不備を防止するために厳格化する部分もあるということです。
改正電子帳簿保存法は、例えばPDFで受け取った領収書をプリントアウトして保存することが禁止
領収書や請求書といった青色申告、確定申告に関わる書類は7年間の保管義務があります。
今(改正前)、例えば紙の請求書や紙の領収書をデータ化して保存しているしている運用を見直すという改正です。
ですので、元々、例えば紙の請求書や紙の領収書をデータ化しないで電子データで保存している個人事業主、フリーランスなど、会社はこの改正は関係ありません。
ここで気になるのが請求書がない取引先、領収書がない取引先
街の実店舗の領収書や、ECサイトでも紙の領収書を発行する会社、また売上の場合でも請求書を発行しなければならない取引先は、紙のデータをそのまま保管するとします。
そうなると、請求書がない取引先、領収書がない取引先が気になります。
例えばAmazonで経費となる商品を購入した場合です。
本来は都度データをPDFにするなどして保管する必要がありますが。
一例ですが、
Amazon
必要経費の購入先として利用が多いAmazonは、注文履歴の閲覧に年数の制限はありません。
注文履歴から注文の領収書、購入明細書を表示させることができます。
もしもアフィリエイト
売上の発生があるもしもアフィリエイトですが、売上のレポートが証明となります。
売上のレポートの閲覧は特に年数の制限はありません。
エックスサーバー
ブログ運営の経費であるエックスサーバーですが、Xserverアカウントでログイン。サーバーのハンバーガーボタンから契約更新・料金支払、お支払履歴/受領書発行でお支払い履歴が表示されます。
こちらも表示に年数の制限はありません。
改正電子帳簿保存法が2年間先送り? 2022年(令和4年)1月施行の改正電子帳簿保存法は2年間猶予期間を設ける
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改正電子帳簿保存法は2022年(令和4年)1月施行ですが、企業側の準備がほとんど整っていないことから、2年間の猶予期間を設けることとなりました。
小規模で紙の領収書、請求書の管理に苦労していない事業者は、より、今考える必要性はありません。
2年後以降も紙保存をしていても青色申告の承認が取り消されるわけではない? 電子帳簿保存をしている事業者が改正に対応するかしないかの話
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この話はもちろん2年後以降の話です。
電子帳簿保存によって、青色申告をしていた場合、電子帳簿保存法改正以降に、改正前の運用で電子データの一部を保存しないで、そのまま書面で保存していた場合でも、青色申告を取り消すことはないということです。
(出典:国税庁HP)
Goolge検索で「電子帳簿保存法一問一答 – 国税庁 お問合せの多いご質問」で検索。
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務に関する今般の改正を契機として、電
子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実をもって青色申告の
承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないか
との問合せがあります。
これらの取扱いについては、従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告に
も反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認でき
るような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取
り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。
(出典:国税庁HP)
青色申告の要件は電子帳簿保存or e-Tax? 個人事業主、フリーランスなどの人はe-Taxでいいんじゃない?
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結論から言うと、
電子帳簿保存よりe-Taxの方がまだラク
ということです。
電子帳簿保存法が改正されても、青色申告の要件は複式簿記とe-Taxもしくは電子帳簿保存です。
先述のとおり、そもそも電子帳簿保存法、電子帳簿保存の目的は、青色申告、確定申告に関係する書類の保存の効率化なので、逆に電子帳簿保存が負担であるのであれば、無理に電子帳簿保存をする必要はありません。
電子帳簿保存法改正ってどういう感じ?
電子帳簿保存は1998年から始まっていて、数度の法改正を経て現在に至ります。
今回2022年(令和4年)1月から改正される内容としては、以下のイメージがわかりやすいでしょう。
(出典:国税庁HP)
確かに電子帳簿保存は悪くはないが、電子帳簿保存導入はハードルが高い
いろいろ便利なシステム、制度を利用することは基本的に悪いことではありません。
しかし現在非効率とまで言えない些細な作業を効率化させるために、深い理解、細かい作業を行うことは決して正解だとは言えません。
以下が電子帳簿保存の概要です。
さらに内容を精査しようと思うとかなりハードルが高いことはご理解いただけると思います。
だから、2年間の猶予期間、先送りなのです。
事業者が2022年(令和4年)までに準備することができなかったのです。
電子帳簿保存よりe-Taxの方がまだラクだから個人事業主、フリーランスなどの人はe-Taxを選びましょう
企業などが国税関係帳簿書類を効率よく管理するためには電子帳簿保存が有効です。
ただ、その導入の手間を考えると個人事業主、フリーランスなどの人は電子帳簿保存まで行う必要はありません。
最大65万円の青色申告特別控除を受けるための青色申告の要件である、複式簿記と電子帳簿保存or e-Tax。
電子帳簿保存の必要がないのであれば、e-Taxで十分なのです。
もしそれでも電子帳簿保存を導入するなら freee会計が改正電子帳簿保存法に対応!
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e-Taxを使えば、青色申告ができる。
しかしe-Taxの代わりに電子帳簿保存でも青色申告ができる。
つまり、実質的にも青色申告の選択肢が増えた。青色申告のハードルが下がったとも言えます。
この改正電子帳簿保存法にクラウド会計ソフトも対応がはじまっています。
freee会計が改正電子帳簿保存法に対応!
マネーフォワード クラウド会計が改正電子帳簿保存法に対応!
やよいの青色申告オンラインは証憑管理サービスを2022年春にリリースします
青色申告と電子帳簿保存の関係は? 電子帳簿保存も青色申告の要件のひとつ
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青色申告と電子帳簿保存の関係は、電子帳簿保存も青色申告の要件のひとつとは言っても、はじめに書いておくと、絶対要件ではありません。
e-Taxか電子帳簿保存
です。
青色申告の3つの大きなハードル
最大65万円の青色申告特別控除受けられる青色申告。
その青色申告には3つの大きなハードルがあります。
- 65万円の青色申告特別控除を理解する
- 難しい複式簿記
- 複雑なe-Taxの設定
65万円の青色申告特別控除を理解する
青色申告特別控除はオトクです。
年収 | 白色申告 | 青色申告 | 差額 |
2,000,000 | 101,000 | 0 | -101,000 |
4,000,000 | 317,000 | 159,000 | -158,000 |
6,000,000 | 543,000 | 385,000 | -158,000 |
8,000,000 | 796,000 | 610,000 | -186,000 |
10,000,000 | 1,074,000 | 874,000 | -200,000 |
12,000,000 | 1,433,000 | 1,174,000 | -259,000 |
14,000,000 | 1,794,000 | 1,535,000 | -259,000 |
16,000,000 | 2,163,000 | 1,904,000 | -259,000 |
18,000,000 | 2,531,000 | 2,299,000 | -232,000 |
20,000,000 | 2,870,000 | 2,652,000 | -218,000 |
青色申告特別控除は法改正を経て現在に至ります。
最大65万円の青色申告特別控除が理解できるように詳細な記事を作りました。

難しい複式簿記
複式簿記は難しいです。
日付 | 借方 | 貸方 |
8月26日 | 消耗品費 5,545円 | 未払金 5,545円 |
8月27日 | 旅費交通費 64,515円 | 現金 64,515円 |
9月6日 | 通信費 27,853円 | 未払金 27,853円 |
9月6日 | 商品売上 4,900円 | 商品Aの売上 4,900円 |
9月7日 | その他売上 239,900円 | 商品その他売上 239,900円 |
9月10日 | 消耗品費 20,000円 | 未払金 20,000円 |
9月10日 | 旅費交通費 76,865円 | 現金 76,865円 |
複式簿記の難しさについて、税務職員は「個人で複式簿記はムリ」と言っています。

難しい複式簿記をカンタンに説明してみました。

複雑なe-Taxの設定
e-Taxの設定は複雑です(電子帳簿保存の導入よりはカンタンです)。
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複雑なe-Taxを使って青色申告するにはクラウド会計ソフトがおススメです。
クラウド会計ソフトのサポートがe-Taxの設定を助けてくれます。


まとめ
電子帳簿保存法は先送り?導入しなきゃいけないの? 個人事業主、フリーランスなどは基本的には不要です。
改正電子帳簿保存法は義務か?強制か?については、 そもそも、もともと紙で管理しているなら対応する必要はありません。
改正電子帳簿保存法は2年間先送りになりました。 2022年(令和4年)1月施行でしたが、2年間の猶予期間を設けることになったのです。
2年後以降改正電子帳簿保存法が運用されるようになったときに、紙保存をしていても青色申告の承認が取り消されるわけではありません。
青色申告の要件は電子帳簿保存かe-Taxです。個人事業主、フリーランスなどの人はe-Taxの方が、まだ導入はカンタンですのでおススメです。
もしそれでも電子帳簿保存を導入するなら、ということで、freee会計が改正電子帳簿保存法に対応し始め、マネーフォワード クラウド会計も対応予定です。