最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記プラスe-Taxもしくは電子帳簿保存が必須です。
その中で一番ハードルが高いのが複式簿記。
私は開業してすぐに税務署から記帳指導の案内が届きました。税務署主催の記帳指導に行くと、税務職員が言っていました。「個人で複式簿記はムリ」と・・・。
私はそれきり当ブログでも、複式簿記はムリとしか書いてこなかったのですが、あらためて複式簿記はどのようなものかを書くことによって、より一層複式簿記が難しいということをご理解いただけるかと思い、この記事を書いてみました。
複式簿記を超入門的に説明できないか? 単純には単式簿記との違い
|
これが複式簿記です。
日付 | 借方 | 貸方 |
8月26日 | 消耗品費 5,545円 | 未払金 5,545円 |
8月27日 | 旅費交通費 64,515円 | 現金 64,515円 |
9月6日 | 通信費 27,853円 | 未払金 27,853円 |
9月6日 | 商品売上 4,900円 | 商品Aの売上 4,900円 |
9月7日 | その他売上 239,900円 | 商品その他売上 239,900円 |
9月10日 | 消耗品費 20,000円 | 未払金 20,000円 |
9月10日 | 旅費交通費 76,865円 | 現金 76,865円 |
詳細は後述します。
複式簿記ってなに?
と考えたときに、どう考えれば一番わかりやすいかを考えてみました。
複式簿記を超入門的にわかりやすく説明するには、結局単式簿記との比較です。
結論からざっくり言うと、
- 複式簿記は単式簿記より細かく収支を管理する
- 単式簿記は銀行口座明細レベル、単式簿記はカネの出入りがわかるから経営にも役立つ
ということになります。
単式簿記を知らないと複式簿記は理解できない? 単式簿記は銀行口座の明細
|
初めに、決して単式簿記が銀行口座の明細だけではないことをお伝えしておきます。
一番わかりやすいので、単式簿記は銀行口座の明細だと説明しています。
これが単式簿記
そのまま銀行口座の明細ですが、これが単式簿記です。
日付 | お支払い | お預かり | お取引内容 | 差引残高 |
8月26日 | 5,545円 | 口座振替3 ミツイスミトモカ-ド | 280,269円 | |
8月27日 | 64,515円 | 口座振替3 ワイジエイカ-ド | 215,754円 | |
9月6日 | 27,853円 | 口座振替4 セゾン | 187,901円 | |
9月6日 | 4,900円 | 振込1 UCカ-ド | 192,801円 | |
9月7日 | 239,900円 | 振込2 ヤフ-ケツサイ | 432,701円 | |
9月10日 | 20,000円 | JCB JCB カ-ド | 412,701円 | |
9月10日 | 76,865円 | 電話 Dカ-ド | 335,836円 |
単式簿記では、単純にお支払とお預かりしかわかりません。
つまり収支のみしかわかりません。
日付 | お支払い | お預かり | お取引内容 | 差引残高 |
8月26日 | 5,545円 | 消耗品費 | 280,269円 | |
8月27日 | 64,515円 | 旅費交通費 | 215,754円 | |
9月6日 | 27,853円 | 通信費 | 187,901円 | |
9月6日 | 4,900円 | 商品売上 | 192,801円 | |
9月7日 | 239,900円 | その他売上 | 432,701円 | |
9月10日 | 20,000円 | 消耗品費 | 412,701円 | |
9月10日 | 76,865円 | 旅費交通費 | 335,836円 | |
合計 | 194,778円 | 244,800円 |
ちょっとわかりやすく加工しましたが、単式簿記ではざっくりとした収支しかわかりません。
これが複式簿記
日付 | 借方 | 貸方 |
8月26日 | 消耗品費 5,545円 | 未払金 5,545円 |
8月27日 | 旅費交通費 64,515円 | 現金 64,515円 |
9月6日 | 通信費 27,853円 | 未払金 27,853円 |
9月6日 | 商品売上 4,900円 | 商品Aの売上 4,900円 |
9月7日 | その他売上 239,900円 | 商品その他売上 239,900円 |
9月10日 | 消耗品費 20,000円 | 未払金 20,000円 |
9月10日 | 旅費交通費 76,865円 | 現金 76,865円 |
これはどういうことかと言うと、
つまり、一つの取引に対して、左の借方はプラスとして書く、右の貸方はマイナスとして書くということです。
例えば8月26日の消耗品費は、消耗品という”モノ”が手に入ったのでプラスです。
一方、消耗品を購入したので、おカネが懐から出て行ってしまってマイナスです(ちなみに「未払金としていますが、クレジットカードなどを想定しています)。
なぜ同じ項目なのにプラスとマイナスを別々に書くのか?
なぜ同じ項目なのにプラスとマイナスを別々に書くのか?
その理由は、おカネの出入りを明確にできるからです。
おカネが手に入って、おカネを使って何かを買った。
単式簿記がこれです。
ただ、どこからどのようにおカネが入ったのか?そのおカネは何に使って無くなったのかが明確ではありません(厳密に言うと、調べようと思えば調べられるがわかりにくい)。
複式簿記の場合は、どのような経路でおカネが入ってきて、その金額のおカネは何に使われた。
ということが明確になります。
複式簿記をするとどんなメリットがあるの? 最大65万円の青色申告特別控除を受けられるなど
|
複式簿記をするとどんなメリットがあるのか?ですが、以下のとおりです。
- 最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
- 貸借対照表や損益計算書の作成がカンタンになる
- 決算書や財務諸表を作成することができる
- 財産や損益の状況を把握できる
最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
個人事業主、フリーランスなどの場合、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。
貸借対照表や損益計算書の作成がカンタンになる
貸借対照表や損益計算書の作成がカンタンになるというか、複式簿記をしないと貸借対照表や損益計算書の作成はかなり厳しいと思います。
貸借対照表
貸借対照表、バランスシートとも言いますが、決算日時点の財政状態を表す書類です。
以下一例です。
(出典:freeeHP)
これではちょっとイメージがわきづらいと思いますので、
(出典:マネーフォワードHP)
損益計算書
損益計算書は、一定期間の費目別の収益と費用とを対照して表示、当期純損益をわかりやすくまとめた表です。
以下、一例です。
(出典:freeeHP)
これではちょっとイメージがわきづらいと思いますので、
(出典:やよいの青色申告オンラインHP)
貸借対照表や損益計算書は複式簿記を知らなくても作れます
貸借対照表や損益計算書は複式簿記を知らなくても作れます。
クラウド会計ソフトを使うと、確定申告の際に自動的に貸借対照表や損益計算書が作成されます。
決算書や財務諸表を作成することができる
決算書は会社などが、どのくらい儲けが出たのか、また損失が出たのか、会社の状況を報告するための書類のこと。
また会社が今どのような財政状態にあるのかもわかります。
財務諸表は、諸種の計算書、計算表(特に、貸借対照表、損益計算書、利益処分計算書、附属明細表)のことです。
経営の財務上の結果を関係者に報告する目的で作ります。
複式簿記をすると、決算書や財務諸表を作成することができます。
財産や損益の状況を把握できる
上述のような、貸借対照表や損益計算書などを財務諸表と言います。
貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成すると、財産の状態と損益の状態を明らかにすることができます。
なぜ青色申告特別控除に複式簿記が必須なの? 適正な会計処理が保証されるから
|
なぜ青色申告特別控除に複式簿記が必須なのか?というと、それは適正な会計処理が保証されるからです。
つまり脱税ができない、やりづらい、やってもバレる。
ということです。
例えば、貸借対照表に記載された資産、負債と、実在する資産、負債を照合して一致しなければ、不正経理であるということになります。
覚える?やる?複式簿記? その時間は本業に費やすべし
|
最大65万円の青色申告特別控除のために複式簿記やる?覚える?
単純に一番の需要は、個人事業主、フリーランスなどの最大65万円の青色申告特別控除でしょう。
青色申告特別控除に複式簿記は必須だからです。
とてもざっくり複式簿記を説明しましたが、本格的にやろうと思うと、もっと難しいし、大変です。
複式簿記の目的が最大65万円の青色申告特別控除ならば、クラウド会計ソフトで十分です。
というか、素人の覚えたての複式簿記より、よっぽど信頼できます。
貸借対照表や損益計算書などの財務諸表、財産や損益の状況を把握が目的であっても
例えば、貴方が個人事業主、フリーランスなどならば複式簿記をしますか?覚えますか?
貴方が企業の経営者、また経営陣であったとしても複式簿記をしますか?覚えますか?
その必要はないと思います。
余裕があるのであれば税理士にお任せすればいいわけですし、企業であれば経理担当者にお任せすればいいのです。
企業の経営者、また経営陣、個人事業主、フリーランスなどで、財産や損益の状況を把握するために貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を見るとしても、複式簿記を覚えなくても貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を見ることはできます。
「余裕があるのであれば税理士に」と書きましたが、クラウド会計ソフトを使えば、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表は自動的に作成されますし、財産や損益の状況を把握することができます。
複式簿記を覚える、やる時間があるのであれば、その時間は本業に費やすべきなのです。
難しい複式簿記をカンタンにやる方法は? クラウド会計ソフトを使う
さて、結局複式簿記って難しいよね。という話。普通に個人事業主、フリーランスなどの人が青色申告をするためだけに複式簿記を覚えてやるのか?という話です。
もちろん売上がたくさんある人は、ハッキリ言って税理士を使うべきです。それが一番確実です。
ただ税理士は高い。税理士は使えないけど、コスパよく青色申告して最大65万円の青色申告特別控除を受けたいということであれば、クラウド会計ソフトにすべきです。
節税のために、複式簿記を覚えて、複式簿記をやってと、時間を費やし、売上に影響があるのでは本末転倒です。
クラウド会計ソフトなら、銀行口座明細やクレジットカード明細を自動で取り込んでくれて、自動で複式簿記をしてくれます。されに最大65万円の青色申告特別控除の必須要件のひとつであるe-Tax送信もできます。

まとめ
複式簿記を超入門的に説明できないか? ということでしたが、単純には単式簿記との違いで説明できます。
単式簿記を知らないと複式簿記は理解できないか? については単式簿記は銀行口座の明細がいい例で知ってみるとカンタンなものです。
複式簿記をするとどんなメリットがあるか?というと、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。
青色申告特別控除に複式簿記が必須な理由は、適正な会計処理が保証されことです。
複式簿記を覚えるのか?やるのか?その時間は本業に費やすべきです。
難しい複式簿記をカンタンにやる方法は、クラウド会計ソフトを使うことです。