どんなにクラウド会計ソフトが便利でも最低限の勘定科目を知っている必要があります。
では複式簿記や仕訳の知識が必要か?というと、極端に言えばクラウド会計ソフトを使っていれば必要ありません。
ただ、複式簿記や仕訳を知っていれば、自分の事業の貸借対照表と損益計算書の見方がわかったり、そのことによって経営状況を知ることができます。
仕訳ってなに?
勘定科目と金額を借方、貸方に分類、仕訳帳に記載する
仕訳ってなに? 勘定科目と金額を借方、貸方に分類、仕訳帳に記載する どんな勘定科目があるの?具体例は?
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仕訳とは、勘定科目と金額を借方、貸方に分類し、仕訳帳に記載すること。
おそらくこのページにたどり着いた人は、そんな難しいことを求めているのではないと思います。
「貸方」「借方」「仕訳帳」、それらは後で説明するとして、取引上のどんな項目をどの勘定科目にするべきなのか?
具体的には自分で複式簿記をするのではなく、クラウド会計ソフトを使うという前提で、自動で取り込まれた取引明細がどの勘定科目に当てはまるのか、例えばどんな取引明細があり、どんな勘定科目に仕訳すべきなのか、それを見ていきたいと思います。
特に個人事業主が使いそうな勘定科目を例示してみます。
借方
区分 | 勘定科目 | 具体例 |
---|---|---|
資産 | 現金 | 普通預金の入出金 小切手の受け取り 手形の回収 売掛金と買掛金 従業員への仮払い 日常的に行われる支払い |
当座預金 | 小切手の振り出し 手形の決済取引 | |
受取手形 | 約束手形 為替手形 | |
売掛金 | ||
商品 | ||
車両運搬具 | 普通自動車 軽自動車 オートバイ トラック バス クレーン車 台車 電車車両 ごみ収集車 トロッコ | |
ソフトウェア | 販売目的のソフトウェア 自社利用目的のソフトウェア | |
関連会社株式 | 子会社 関連会社 | |
研究開発費 | 従来にはない製品、サービスに関する発想を導き出すための調査探究 新しい知識の調査探究の結果を受け、製品化又は業務化等を行うための活動 従来の製品に比較して著しい違いを作り出す製造方法の具体化 従来と異なる原材料の使用方法又は部品の製造方法の具体化 既存の製品、部品に係る従来と異なる使用方法の具体化 工具、治具、金型等について、従来と異なる使用方法の具体化 新製品の試作品の設計製作及び実験 商業生産化するために行うパイロットプラントの設計、建設等の計画 取得した特許を基にして販売可能な製品を製造するための技術的活動 | |
負債 | 支払手形 | |
買掛金 | ||
未払消費税 | ||
未払法人税等 | ||
未払金 | ||
未払費用 | ||
長期借入金 | ||
短期借入金 | ||
社債発行費 | 社債募集時の広告宣伝費 金融機関や証券会社の取扱手数料 社債申込証や社債券などの印刷費 社債の登記における登録税など | |
退職給付引当金 | ||
純資産 | 資本金 | |
資本準備金 | ||
その他資本剰余金 | ||
繰越利益剰余金 | ||
その他有価証券 | ||
収益 | 売上高 | |
費用 | 地代家賃 | 事業所 店舗用の物件 事業用の駐車場を借りた場合の賃料 事業用の駐車場を借りた場合の管理費 |
接待交際費 | 得意先、仕入先その他事業に関係のある者に対して 接待 供応 慰安 贈答 | |
水道光熱費 | 電気料金 ガス料金 プロパンガス料金 水道料金 下水道料金 灯油代 暖房費 冷房費 電灯費 | |
消耗品費 | コピー用紙 文房具 切手 手袋 ペンチ ドライバー ガソリン代 包装材料 包装用紙 リボン レジ袋 チラシ うちわ カレンダー 展示用のフィギュア | |
販売促進費 | 商品サンプル ノベルティグッズ 割引券やクーポン券 キャンペーン 実演販売 展示会や見本市 販売手数料 販売奨励金(リベート) | |
新聞図書費 | 新聞購読料 雑誌 書籍 専門書 業界紙 情報誌 官報 地図 統計資料 メールマガジン 定期刊行物 有料サイト |
貸方
区分 | 勘定科目 | 具体例 |
---|---|---|
資産 | 現金 | 普通預金の入出金 小切手の受け取り 手形の回収 売掛金と買掛金 従業員への仮払い 日常的に行われる支払い |
当座預金 | 小切手の振り出し 手形の決済取引 | |
受取手形 | 約束手形 為替手形 | |
売掛金 | ||
商品 | ||
建物 | 店舗 務所 倉庫 工場 | |
機械装置 | ブルドーザー パワーショベル コンベア(ベルトコンベアなど) 醸成などで使用される貯蔵槽 機械装置などに組み込まれているソフトウェア | |
車両運搬具 | 普通自動車 軽自動車 オートバイ トラック バス クレーン車 台車 電車車両 ごみ収集車 トロッコ | |
土地 | 店舗 事務所などの敷地 営業活動に使用する土 | |
ソフトウェア | 販売目的のソフトウェア 自社利用目的のソフトウェア | |
関連会社株式 | 子会社 関連会社 | |
研究開発費 | 従来にはない製品、サービスに関する発想を導き出すための調査探究 新しい知識の調査探究の結果を受け、製品化又は業務化等を行うための活動 従来の製品に比較して著しい違いを作り出す製造方法の具体化 従来と異なる原材料の使用方法又は部品の製造方法の具体化 既存の製品、部品に係る従来と異なる使用方法の具体化 工具、治具、金型等について、従来と異なる使用方法の具体化 新製品の試作品の設計製作及び実験 商業生産化するために行うパイロットプラントの設計、建設等の計画 取得した特許を基にして販売可能な製品を製造するための技術的活動 | |
負債 | 支払手形 | |
買掛金 | ||
未払消費税 | ||
未払法人税等 | ||
未払金 | ||
未払費用 | ||
長期借入金 | ||
短期借入金 | ||
社債発行費 | 社債募集時の広告宣伝費 金融機関や証券会社の取扱手数料 社債申込証や社債券などの印刷費 社債の登記における登録税など | |
退職給付引当金 | ||
純資産 | 資本金 | |
資本準備金 | ||
その他資本剰余金 | ||
繰越利益剰余金 | ||
その他有価証券評価差額金 | ||
費用 | 給料賃金 | |
地代家賃 | 事業所 店舗用の物件 事業用の駐車場を借りた場合の賃料 事業用の駐車場を借りた場合の管理費 | |
広告宣伝費 | 製品やサービスを間接的に宣伝する経費 テレビ インターネット チラシ 屋外広告 新聞 | |
接待交際費 | 得意先、仕入先その他事業に関係のある者に対して 接待 供応 慰安 贈答 | |
租税公課 | 国や地方に納める税金(租税) 公共団体へ納める会費や罰金など(公課) | |
支払利息 | ||
賞与 | ボーナス 一時金 報奨金 夏期手当(夏季手当) 冬期手当(冬季手当) 年末手当 期末手当 | |
固定資産除却損 | ||
福利厚生費 | 社宅 交通費 出張手当 慶弔見舞金 慰安旅行 新年会 忘年会 親睦会 残業時の食事代 保養所別荘 人間ドック 永年勤続記念品 クラブサークル活動に対する補助 資格取得費用 | |
荷造運賃 | 郵便手数料(郵送代) 宅配便料金 飛行機、トラックなどの商品の運送費、運搬費 梱包資材 段ボール 緩衝材 ビニールテープ、ガムテープ 包装紙 | |
水道光熱費 | 電気料金 ガス料金 プロパンガス料金 水道料金 下水道料金 灯油代 暖房費 冷房費 電灯費 | |
旅費交通費 | ||
通信費 | 電話代 インターネット代 切手代 テレビの受信料 | |
損害保険料 | 火災保険 地震保険 貨物運送保険 傷害保険 盗難保険 損害賠償責任保険 自動車損害賠償責任保険 興行中止保険 | |
修繕費 | 備品や車、事務所などの資産を修理、メンテナンス | |
消耗品費 | コピー用紙 文房具 切手 手袋 ペンチ ドライバー ガソリン代 包装材料 包装用紙 リボン レジ袋 チラシ うちわ カレンダー 展示用のフィギュア | |
減価償却費 | 建物 車両 パソコン 機械 | |
外注費、外注工賃 | ||
利子割引料 | 事業用のために銀行から借りた借入金の利息 住宅ローンの利息 自動車ローンの利息 カードローンの利息 手形の割引料 リボ・分割払いの手数料 | |
貸倒金 | 売掛金 未収入金 受取手形 貸付金 | |
雑費 | クレジットカードの年会費 銀行の振込手数料 ゴミの処分費用 少額の解約違約金 キャンセルの手数料 有料サービス・動画の課金代金 引っ越しの手数料 清掃・クリーニングなどの手数料 | |
販売促進費 | 商品サンプル ノベルティグッズ 割引券やクーポン券 キャンペーン 実演販売 展示会や見本市 販売手数料 販売奨励金(リベート) | |
新聞図書費 | 新聞購読料 雑誌 書籍 専門書 業界紙 情報誌 官報 地図 統計資料 メールマガジン 定期刊行物 有料サイト |
仕訳ってなに? 勘定科目と金額を借方、貸方に分類、仕訳帳に記載する
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仕訳とは、勘定科目と金額を、借方、貸方に分類、仕訳帳に記載することです。
ひとつひとつ見ていきましょう。
勘定科目とは
勘定科目とは、売上や経費の分類のことです。
仕事をする上で必要な何をいくら買ったのか?どうしていくらお金が手に入ったのか?
それぞれ、その「何を」、「どうして」の細かい明細を、わかりやすく括って分類したものです。
例えば仕事に使うノートを買ったとしましょう。
これは仕事に使う経費として「消耗品」という勘定科目になります。
例えば商品を売って、代金が手に入ったとしましょう。
これは「売上高」という勘定科目になります。
この今回例にあげた「消耗品」や「売上高」のような勘定科目は、上述のように細かく分類されています。
仕訳とは?借方とは?貸方とは?
仕訳とは?
本当は借方とは?貸方とは?仕訳とは?と説明していこうと思ったのですが、わかりやすく説明するにはセットで説明したほうがよさそうです。
仕訳というのは、取引した内容を借方と貸方に振り分けていくことです。
ただし、これは借方、これは貸方と別々に振り分けていくのではなく、ひとつの取引を借方と貸方、両方に振り分けて仕訳帳に記載していくのです。
例えば100円のノートを購入しました。
この場合借方に「消耗品」100円、貸方に「現金」100円と分けて仕訳帳に記載するのです。
これは、「仕訳というものはこういものだ」と覚えるしかないのです。
仕訳についてくわしくは後述します。
借方とは?貸方とは?
では、借方とは?貸方とは?
というと、これは文字や意味として考えるのではなく、記号だと考えるしかないです。
そして左に書くのが借方、右に書くのが貸方
このように「り」と「し」のはね方で覚えます。
特に「貸し」の「し」の方がわかりやすく、「貸し↺だから右が貸方だなあ」と覚えるといいでしょう。そして「その逆は借方だ」と。
そして仕訳は以下の内容でします。
借方(左側) | 貸方(右側) |
---|---|
資産の増加(+) | 資産の減少(-) |
負債の減少(-) | 負債の増加(+) |
資本の減少(-) | 資本の増加(+) |
費用の発生(-) | 収益の発生(+) |
これも、こういうものだと考え、覚えるしかありません(覚えなくても見ながらでも構いませんが)。
資産?負債?資本?費用?
「これは負債の減少だから左側の借方に」「これは資本の増加だから右側に」というように仕訳します。
当ブログでは資産、負債、資本、費用がそれぞれどういうものなのか?というところまで細かくは触れません。
ただわかりやすく、このページの一番はじめの「借方」と「貸方」を見ていただければ、なにが資産、負債、資本、費用なのかがわかります。
借方
区分 | 勘定科目 |
---|---|
資産 | 現金 |
当座預金 | |
受取手形 | |
売掛金 | |
商品 | |
建物 | |
機械装置 | |
車両運搬具 | |
土地 | |
ソフトウェア | |
関連会社株式 | |
研究開発費 | |
負債 | 支払手形 |
買掛金 | |
未払消費税 | |
未払法人税等 | |
未払金 | |
未払費用 | |
長期借入金 | |
短期借入金 | |
社債発行費 | |
退職給付引当金 | |
純資産 | 資本金 |
資本準備金 | |
その他資本剰余金 | |
繰越利益剰余金 | |
その他有価証券評価差額金 | |
費用 | 給料賃金 |
地代家賃 | |
広告宣伝費 | |
接待交際費 | |
租税公課 | |
支払利息 | |
賞与 | |
固定資産除却損 | |
福利厚生費 | |
荷造運賃 | |
水道光熱費 | |
旅費交通費 | |
通信費 | |
損害保険料 | |
修繕費 | |
消耗品費 | |
減価償却費 | |
外注費、外注工賃 | |
利子割引料 | |
貸倒金 | |
雑費 | |
販売促進費 | |
新聞図書費 |
これで、「で?具体例はなんなの?」ということでしたら、このページのはじめに書ける限り書きました。
貸方
区分 | 勘定科目 |
---|---|
資産 | 現金 |
当座預金 | |
受取手形 | |
売掛金 | |
商品 | |
車両運搬具 | |
ソフトウェア | |
関連会社株式 | |
研究開発費 | |
負債 | 支払手形 |
買掛金 | |
未払消費税 | |
未払法人税等 | |
未払金 | |
未払費用 | |
長期借入金 | |
短期借入金 | |
社債発行費 | |
退職給付引当金 | |
純資産 | 資本金 |
資本準備金 | |
その他資本剰余金 | |
繰越利益剰余金 | |
その他有価証券 | |
収益 | 売上高 |
費用 | 地代家賃 |
接待交際費 | |
水道光熱費 | |
消耗品費 | |
販売促進費 | |
新聞図書費 |
これで、「で?具体例はなんなの?」ということでしたら、このページのはじめに書ける限り書きました。
貸借対照表と損益計算書
貸借対照表と損益計算書は、経営状況を表す財務諸表です。
また最大65万円の青色申告特別控除を受けるために必要な書類です。
仕訳をすることによって、貸借対照表と損益計算書を作成することができます。
カンタンにだいたいこういう感じという貸借対照表と損益計算書です。
青色申告に仕訳の知識は必要か? クラウド会計ソフトを使えば貸借対照表と損益計算書は作れるが、仕訳は必要
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青色申告に仕訳の知識は必要か?というと、クラウド会計ソフトを使えば貸借対照表と損益計算書は作れます。
ただし最低限の自分の事業で使用する勘定科目は覚えておく必要があるでしょう。
仕訳は基本的にクラウド会計ソフトで自動でしてくれますが、ある程度使っていかないと自動で仕訳をしてはくれないです。
例えば、クラウド会計ソフトを使い始めて一定期間過ぎると、クラウド会計ソフトが自動で取り込んだ銀行口座やクレジットカード明細を判別して、自動で仕訳をしてくれるようにはなります(最終的には自分で判断してボタンを押さなければならない)。
また、クラウド会計ソフトが誤った仕訳を提案したときに、今後別の仕訳をするように登録したり、今後も継続的に発生する仕訳が発生した時に、以降自動で同じ仕訳を提案をしてくれるように登録する必要はあります。
つまり、それらをこなしていくと、クラウド会計ソフトは半自動で仕訳をしてくれ、複式簿記をして、確定申告書、青色申告決算書、貸借対照表、損益計算書などを作成してくれます。
よりカンタンに仕訳をして青色申告するには? クラウド会計ソフトがベター
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最低限の自分の事業で使用する勘定科目は覚えて仕訳の判断をする。
仕訳をすれば、複式簿記をしてくれる。
確定申告書、青色申告決算書、貸借対照表、損益計算書などを作成してくれる。
e-Taxもでき、最大65万円の青色申告特別控除を受けられる青色申告をする。
クラウド会計ソフトを使えば、よりカンタンに青色申告ができます。
私は3つのクラウド会計ソフトすべてを使ってみてレビューしました。

まとめ
仕訳ってなに?ということでしたが、勘定科目と金額を借方、貸方に分類、仕訳帳に記載することです。どんな勘定科目があるのか、具体例を示してみました。
仕訳ってなにか?ですが、勘定科目と金額を借方、貸方に分類、仕訳帳に記載することです。
青色申告に仕訳の知識は必要か?というと、クラウド会計ソフトを使えば貸借対照表と損益計算書は作れるが、仕訳は必要です。のちのち半自動にはなります。
よりカンタンに仕訳をして青色申告するには、クラウド会計ソフトがベターです。